2007年6月2日土曜日

「ザ・シューター/極大射程」


 観てきました、「ザ・シューター/極大射程」。
 冒頭で展開される遠距離狙撃ミッションから、なかなか好調な滑り出しです。このミッションをきっかけに現役を退いた主人公ボブ・リー・スワガーのもとにもたらされる大統領暗殺計画阻止の依頼。そこに隠された巧妙な罠。絶対絶命の窮地に追い込まれたスワガーがみせる、狙撃手ならではの反撃。
 130分強の少々長めの作品ですが、主人公を追い詰める謀略のサスペンスと、卓越した狙撃の技術を使ったアクションが活きて、スピーディに物語は展開していきます。
 サスペンス・アクション映画の及第点をクリアした作品として、大いに楽しめる映画だと思います。

 で、ここからは原作ファンとして一言。
 映画版は原作の流れをうまくまとめていて、ストーリーの面白さは損なわれていないと思います。願わくば、主人公である「伝説の狙撃手」ボブ・リー・スワガーが持つ“渋さ”をもう少し描いて欲しかったというのが、正直な印象です。
 主役のマーク・ウォルバーグを観るのは、今回が初めてなんですが、決して悪くはないという印象です。戦いのプロらしい動きも見事に表現していたと思います。
 ただ、原作で感じたスワガーには、人を安易に寄せ付けない頑固さ、孤高の男の持つ厳しさといったイメージがあり、それが大きな魅力となっていました。
 個人的な印象では、「山猫は眠らない」(’92)でトム・ベレンジャーが演じた海兵隊狙撃兵ベケット曹長が、一番イメージが近いんですよ。
 映画版には、不運にも事件に巻き込まれる新人FBI捜査官や、戦死した観測手の未亡人といった人物とのやり取りの中に、スワガーが持つ「辛さをじっと胸にしまいこんだ男の渋さ」を語るエピソードを盛り込んで欲しかったなぁ。
 それがあれば、もう文句なしだったんですが。

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